人生のダークサイドしか知らない売れっ子ホストと愛を知らないままに育った盲目の令嬢が、偽りの兄妹という関係ではぐくむゆがんだ愛の形に凄みを見せる異色ラブストーリー。歌舞伎町のホスト・白鳥レイジ(渡部篤郎)は、幼いときに離れ離れになってしまったという鷹園亜子(広末涼子)の兄に間違えられる。7億3千万円の借金を背負うレイジにとって、父親が残した巨額の遺産を相続したばかりの亜子はあまりにも格好のターゲットだった。兄になりすましたレイジは、人を寄せ付けない亜子の心を次第にとかしていく……。 ピカレスクロマンの巧みな置き換えと、それを見せきるディテールの演出によって高められていく濃厚な世界観に魅了されてしまう。あまりにも胡散臭いレイジこそがもっとも誠実に振る舞うという逆転の仕掛けが、物語の磁力を失わせない大いなる要因だ。登場人物全員の猿芝居が見え隠れする中、真実と嘘偽りとの線引きが曖昧になっていくスリリングにハラハラさせられっぱなし。全体的には演出先行の印象を与える作品だが、台詞の力にも大いに感心させられる。これだけの悪人キャラがずらりとそろっても、龍居由佳里の筆にかかるとそのキャラクターたちに性善説が息づきはじめるから不思議。ドラマの展開と連動して変化するタイトルバックにも注目したい。(麻生結一)
息を奪う連ドラ
連ドラ一般を馬鹿にしていたが、この『いら夏』には驚いた。ストーリーの面白さ、渡部と広末の巧さ(→盲目の演技も素晴らしいが、第九話でのホテルでホストクラブの客を「遊び」でやるが、この時の喋り方が完璧。素晴らしい女優)、音楽の良さ、等一回観れば分かる。 堤幸彦の演出の巧みさも一回観るとその一角が分かり水面下の巨大さが仄かに見える。
光、鏡、花、色、食器、風船、帽子、オルゴール、電灯、ジョウロ、素足、人が倒れる音、スーパーボール、柱、カーブミラー、ベール、蛍、川の流れと音、窓、海面、風、等々極普通の物を使って暗示、明示、強調、台詞の「嘘」と「実」を表してる。 特に台詞の「嘘」と「実」の分け方は大変精緻で、二つの物を使い二重否定してる場面まである。 ただ私の様な素人には全ての演出を解釈するには10回観たくらいでは分からず、納得出来るまで一年掛かった。これ位の「精読」に耐えられる「硬質」な佳作だ。 『いら夏』を観ると二年後にTV版『セカチュウ』という傑作を堤幸彦が作ったのがまぐれではないのがよく分かる。 お勧めの一本、是非ご覧になって下さい。
どの登場人物にも一瞬、己を投影できる引き込まれる作品
渡部篤朗氏の演技が卓越していますが、脚本の素晴らしさもあると思います。人物設定も結構ありがちなチンピラと世間を知らないお嬢さんの類なはずなのに、2人が互いに響く部分が見ている側の痛いところを突いている気がしました。悲哀もずるさも優しさも、交錯する展開の中で感じ取れる素晴らしい作品だと思います☆
放送当時に最初から最後まで初めて全編通してみたテレビドラマでとにかく面白かったです。
渡部さんのモノまねして『あこぉ?』て机や壁にもたれたりしてました♪
最高のドラマ作品
素晴らしい作品だ。渡部篤郎も広末涼子もそれぞれ最高の演技を披露しているし、堤幸彦の演出、龍居由佳里の脚本もドラマの枠を超えている。脇を固める藤原竜也の存在も光る。
出生に悲劇があり(それがどの様なものだったのかは結局はっきりとは明かされない)、人間を信じない一つの孤独な魂が、愛によって救済される話はよくある展開ではあるのだが、堤-龍居コンビの手にかかるとそれは他に類するものがない作品に昇華してしまう。
所々にストツプモーションを効果的に挟み込みこむ絶品とも云うべきカメラワークは、凡百のドラマとは截然と違っている。
盲目の亜子(広末)の生き別れの兄と偽り近づいたレイジ(渡部)が、亜子に嘘がばれたと知った後に、夜の庭で目を閉じて亜子を探す。その後二人が手を握り合うシーンでのそのアングル!
センターよりやや右に手を取り合う渡部と広末を配し、そのバックに風に揺れる木々を映し出し二人の心象を象徴化させた演出は、この作品のハイライト・シーンであると思う。「やっと見えたの、本当の自分の心。今まで見ようとして見えなかった自分が・・・見えたの」と告げて立ち去る広末を見送った渡部がつぶやく「亜子・・・俺には俺が見えないよ・・・」
視聴率的には不振だった作品だが、演出・脚本・演技共間然とするところのない傑作であったと思う。
ちぁーす
愛なんて、いらねぇ。愛なんていらねぇと女たちに囲まれ、金金金で冷酷にのし上ってきた男。
愛なんていらない。愛なんていらないんだから、と光のない世界で孤独に生きている少女。
切なく、切ないこのドラマ。愛がいらないもの同士だったから互いを必要とした。互いがかけがえのものとわかったことが切なかった。
セル版に全話キャストのオーディオコメンタリー収録。渡部さん、おつかれさま。このドラマの流れは「世界の中心で愛をさけぶ」に受け継がれていきます。堤監督はすごいなぁ。
非日常の醍醐味
非日常的な設定で、ほとんど良い人が出てこない、話す言葉はどれもこれも嘘くさい。そんな中で本当の愛が生まれていくっていうのが唐突でなく納得できるドラマだった。登場人物も皆、愛憎の間で行き来する心理をよく演じてたと思う。特に坂口良子と藤原竜也は一面からは語れない人への思いがにじみでるようだった。 主役の二人も難しい役どころを好演したと思う。渡部篤郎はビジュアル的にも胡散臭さ満載で、いつにも増して気の抜けたような台詞回しで虚と実の境界線が曖昧な感じをよく出していたと思う。 2時間ミステリーみたいなシチュエーションの中、実は純粋なラブストーリーという展開がドラマという非日常の世界の醍醐味をたっぷり味あわせてくれた。 放送時は視聴率低くて打ち切りか?と心配したが、よくぞ最後まで走りきってくれた。視聴率なんて当てにならない。ぜひDVDでも見てもらいたいドラマです。
TBS
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